さらに突っ込んでお勉強しましょう!酵素の基礎を抑えるのだ!

さて、Vol.1では体内酵素の種類と役割、よく働く条件について大雑把に説明しました。

今回は、体内酵素の代表的な2つ「消化酵素」「代謝酵素」について、もう少し突っ込んでみましょう。ちょっと難しい話になってしまいますが、溜めない体質づくり、太りにくい体質づくりのヒントがたくさん隠れています。

ぜひがんばって最後までお読みくださいませ~!

消化酵素の役割

消化酵素は口の中・胃・膵臓・腸に含まれる「砕く小人さん」。

デンプン(糖)、タンパク質、脂質の三大栄養素を、それぞれの役割分担ごとに細かく細かく、こつこつと砕いて体内に吸収しやすくしてくれています。

  1. 唾液の酵素で大きめに分解
  2. 胃の酵素で小さく分解
  3. 膵臓・腸の酵素で最終段階まで分解

・・・と、大雑把に言えばこんな感じです。

各栄養素の分解の過程をまとめました。

消化酵素が分泌される場所 デンプン(糖) タンパク質 脂質
口(唾液) アミラーゼ(ジアスターゼ)
デンプンをマルトース(※1)、ブドウ糖、オリゴ糖(※2)などの小さな糖類に分解マルターゼ
マルトース(二糖類)を、さらに小さなブドウ糖(単糖類)に分解
ペプシン
食べ物として胃に入ってきたタンパク質を、ペプチドに分解
リパーゼ
食べ物として胃に入ってきた脂肪を、脂肪酸とグリセリンに分解
膵臓 膵アミラーゼ
デンプンをマルトース(麦芽糖)とブドウ糖に分解
トリプシン
キモトリプシン
タンパク質やペプチドを、さらに小さなポリペプチドやアミノ酸に分解
膵リパーゼ
胆汁で乳化された脂肪(中性脂肪)を、脂肪酸とグリセリンに分解
ラクターゼ
ラクトースをブドウ糖とガラクトースに分解
※ラクトース(乳糖)・・・母乳や牛乳・乳製品に含まれる二糖類スクラーゼ
ショ糖をブドウ糖と果糖に分解
マルターゼ
マルトースをブドウ糖に分解
アミノペプチダーゼ
ポリペプチドをアミノ酸に分解

※1:マルトース・・・麦芽糖とも呼ばれる水あめの原料で、ブドウ糖が2つつながったもの(二糖類)。
※2:オリゴ糖・・・ブドウ糖が数個~数10個つながったもので、腸内の善玉菌を増やす「お腹に優しい糖」として単独で売られていたり、食品に配合されている。

代謝酵素の役割

消化酵素が「砕く小人さん」なら、代謝酵素は「作る小人さん」。

細かく分解した栄養素を、体内で使えるようにさまざまな形に変換する酵素です。

代謝酵素の多くは、代謝機能の多くを担う「スーパー臓器」・・・肝臓で分泌されるようですが 心臓や腎臓、肺、などさまざまな臓器にも代謝酵素があります。

その種類は数千にもおよび、それぞれの役割も複雑で、とても説明しきれません。

そこのところはご容赦いただき、今回はダイエットに関係する代謝、つまり分解された三大栄養素である

  • ブドウ糖
  • 脂肪酸
  • アミノ酸

の代謝についてご紹介。

食べたものは、どうやってエネルギーになるの? どうやって身体に溜まるの?

代謝酵素の役割を知って、健康で効率のいいダイエットを目指しましょう。

ブドウ糖(デンプンが分解されたもの)の代謝

エネルギーになる

「解糖系」と呼ばれる代謝経路で、さまざまな酵素によって最終的にピルビン酸になります。その過程で、ATP(アデノシン3リン酸)が生産されます。ATPはすべての生物に不可欠なエネルギー供給源で、「生物のエネルギー通貨」と呼ばれています。

ピルビン酸からアセチルCoA、オキサロ酢酸という物質に代謝すると、細胞内にあるミトコンドリアで「クエン酸回路(TCA回路)」に使われます。

クエン酸回路はさまざまな代謝の経路となっていて、「代謝の交差点」と呼ばれています。ここでも多くのATPが生産されます。

このように、ブドウ糖はさまざまなエネルギー代謝を経て、最終的には、水と炭酸ガスとなります。

貯蓄される

「解糖系」に使われないブドウ糖は、酵素によってグリコーゲンに変換され、肝臓や筋肉に一時保管されます。

肝臓のグリコーゲンは血液中に糖が足りない時に使われ、筋肉のグリコーゲンは筋肉を動かすときに使われます。グリコーゲンが一時保管できる量を超えてできてしまったら、中性脂肪として脂肪細胞や肝臓に蓄えられます。

ダイエットのポイント

お待たせいたしました・・・!ようやく、ココまでお勉強してダイエットのお話となります。

食事で摂取されたブドウ糖は、まずはグリコーゲンとして蓄えられます。前の食事で溜まっていたグリコーゲンをきちんと減らしてから食事をすると、太りにくくなります。

逆に、グリコーゲンが容量をオーバーすると、脂肪細胞として身体に溜まり、肥満の原因に。

では「グリコーゲン」を減らすポイントとは何でしょう?

空腹を感じてから食べる

肝臓のグリコーゲンが減ると、血糖値が下がって、脳内に「お腹がすいた」という信号が送られます。

お腹がすいてから食べれば、肝臓に溜められるグリコーゲンが許容量を越えないので、太りにくくなります。

筋トレをしてから食べる

筋肉にはグリコーゲンが1000kcalも溜められるといわれています(!)。

筋肉を増やして、使うことで、新しいグリコーゲンが入るスペースを確保できれば、グリコーゲンが余って脂肪になってしまうことはありません。

脂肪酸(脂質が分解されたもの)の代謝

長鎖脂肪酸の代謝

サラダ油、オリーブオイル、肉の脂身に含まれる長鎖脂肪酸は、膵臓の消化酵素、膵リパーゼによって吸収されやすいよう分解され、小腸で吸収されます。

その後、いくつもの代謝酵素による変換を経て中性脂肪に再合成され、さらにカイロミクロンという物質になってリンパ管へ流れます。リンパ管からは筋肉組織や脂肪組織に運ばれ、一旦貯蔵されます。

ここで必要とされるまでとどまるのです。

リンパ管に流れたカイロミクロンの一部は肝臓にも運ばれ、ここでカルニチンという物質の助けを借りて肝細胞内のミトコンドリアに入ることができます。その後「β酸化」という経路を経て、「クエン酸回路」に取り込まれ、
エネルギーとしてようやく代謝されます。

つまり、エネルギーとして代謝されるのがゆっくりで、身体にたまりやすい性質です。

中鎖脂肪酸の代謝

ヤシ油、ココナッツ油、バター、牛乳、母乳に含まれる中鎖脂肪酸は、代謝経路が異なります。

長鎖脂肪酸と違って小さな構造なので、小腸に吸収されてから、変換を必要とせずにそのまま肝臓へと運ばれます。

代謝酵素で変換されてから、カルニチンの助けなしに肝細胞のミトコンドリア内膜に入り、「β酸化」経路を経てさらに「クエン酸回路」に取り込まれ、エネルギーとして代謝されます。

つまり、肝臓ですぐにエネルギーとして代謝されるので、身体にたまりにくい性質です。

ダイエットのポイント

ここでお分かりのように、長鎖脂肪酸よりも中鎖脂肪酸を積極的にとるほうが、体に溜まりません。

ココナッツオイルは有名ですが、牛乳や乳製品にも中鎖脂肪酸は含まれています。これは、脂質の分解酵素が未発達な子牛でも、身体への負担なく吸収できるように、牛の母乳に中鎖脂肪酸が含まれているためです。

チーズやヨーグルトを食事に上手に取り入れたいですね。

アミノ酸(タンパク質が分解されたもの)の代謝

各組織の細胞になる

タンパク質は胃・腸を経て消化酵素の働きでアミノ酸に分解されます。

その後、肝臓から血液で各組織に運ばれ、組織細胞を構成するタンパク質に再合成されます。各細胞は、新しいタンパク質を得ると、古いタンパク質を分解して血液に放出します。

これを肝臓が新しいアミノ酸に作り変えて血液に戻します(代謝回転)。

このようなタンパク質の再合成・分解・アミノ酸の再合成にも代謝酵素が働いています。

「糖新生」でブドウ糖に変換

体内に糖が不足すると、代謝酵素はアミノ酸をアセチルCoAに変換し、ミトコンドリアの「クエン酸回路」に使われます。ここでアセチルCoAはブドウ糖に代謝されます。

これを「糖新生」と呼びます。この時にも、たくさんのATPが作られています。

余ったら排泄される

余ったアミノ酸は代謝酵素によって窒素酸化物→アンモニア→尿素に分解され、排泄されます。

ダイエットのポイント

炭水化物を制限すると、ブドウ糖の蓄えが減り、「クエン酸回路」で「糖新生」が起こりやすくなります。

これが低糖・低炭水化物ダイエットのメカニズムの根幹ですね!

「糖新生」に使われるのは、アミノ酸と脂肪酸。もとを正せばタンパク質と脂質です。体内の中性脂肪が「糖新生」に使われるのは、ダイエッターとしては願ったり叶ったり、ですが食事で充分なタンパク質を取れていないと、筋肉も分解されて減ってしまう可能性が・・・。

ね、低糖・低炭水化物も単なる絶食的ダイエットになりがちなのですが、たんぱく質は十分に取らないとダメ、なんです。定番のサラダチキンなんて、ぴったりですね。

アミノ酸は脂肪酸とは違って、余ったら身体に貯蔵されずに排泄されます。糖質制限中は積極的にタンパク質をとって、適度な運動で筋肉を落とさないようにしましょう。

まとめ。

いかがでしたか?

単に食事を減らして酵素を取り入れても、長い目で見れば決してダイエットのためにはならない・・・ことがご理解頂けたと思います。

私たちの身体の中で日々働いている「小人さん」・・・体内酵素の働きを知り、適切な栄養素を取り入れ、そして適切な運動をすることで身体に負担のないダイエットを目指しましょう!